2006年09月25日

蒸気機関車とドヴォルザーク

9/24の夜、NHKをボーッと見ていたら、「よみがえれ貴婦人C571〜最後のSL解体修理〜」というドキュメンタリーに目が釘付けになった。山口で観光運転をしている最後のSL・C571の、神戸・鷹取工場でのオーバーホールの様子をつづった1985年の番組(NHKアーカイブス)である。

日本の機関車事情は、最盛期の1950年代には全国で5,000台の機関車が走り、全国11カ所の整備工場で、常時メンテナンスが行われていたという。しかし75年に営業運転を終了して10年で、立派なインフラは跡形無く駆逐されてしまい、この番組の修理作業(85年)では、ほとんど定年退職後の技術者の善意をあてにして行われていた。

C57は、客車専用機関車として設計、「SLの貴婦人」と呼ばれるスマートな車体(→詳細:鉄道博物館のページ)だったが、それでも主動輪の直径はディーゼル車の2倍近く、175cmもある。この動輪の軸にヒビが見つかるが、それを直せる大型機械が北海道の苗穂工場にしかなく、神戸→舞鶴を陸送、そこからフェリーで北海道に運んで事なきを得た、とか、連結棒の軸受け部分にも欠けが見つかり特殊合金づくりからやり直した、とか、部品がなくて全国の車両区に電話しまくり、埃まみれのデッドストックをあつめた、などなど、それなりに見飽きないエピソードがいっぱいだった。

無事修理を終え、久しぶりに釜に点火して「貴婦人に体温を戻」し、充分に上がった蒸気圧を誇示するように汽笛を鳴らしてスチームを盛大にはき出しながら悠然と動き出すさまは、たしかに意思をもった生き物のようで、感情移入がしやすい。その様子を見ていたら、ドヴォルザークが鉄道オタクだった、という話を思い出した。

ドヴォルザークは1日40小節作曲することを自分に課していたが、それ以外の時は蒸気機関車の模型を作っているか、町の操車場に出かけ何時間も飽きずに機関車を眺めていたという。ある時などは「本物の機関車が手に入るのだったら、これまで自分が作った曲のすべてと取り替えてもいいのに…」と、ため息交じりに友人に語ったと言うから、そのオタクぶりは相当なもの。

いま、これだけ刺激と娯楽の多い21世紀の世の中から見ても、蒸気機関車の力強さ、とか、五感に訴える迫力、というのは、群を抜いていると思った。19世紀の末に、ドヴォルザークが鉄道に魂を奪われたのも、無理はない。

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posted by long-tail at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記・雑想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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